小児病院の24時間付き添いの現状

  

我が子がもし入院したら。

大学病院をはじめとした多くの病院では、保護者が24時間付き添いすることを強いられています。(特に未就学児)

  

付き添いを経験した保護者の話を聞いていると、本当に壮絶です。

  

例として挙げると

  • 4~6人部屋をカーテンで仕切られたところがプライベートゾーン。
    24時間子どもと同じスペースで過ごす。
  • 椅子を組み立てた簡易ベッドを使用。イメージは、毎日夜行バスに乗っている感じ。
    狭くて固いベッドは寝心地が悪く、夜間看護師の巡回も気になって、寝れない。
  • 子どもは体調が悪いため不機嫌で、ちょっと離れようとすると大泣き。
    親はトイレにも行けない。
  • 親のご飯は売店の弁当やインスタント食品ばかり。
    食べる時間は子どもが寝ているすきを見計らっていく。(食べ物を胃に流し込んで戻ってくる。)

  

少し上げただけでも、これだけの負担が親に降りかかってきます。
人によっては、入院の付き添いのために、仕事を止めざる終えない状況になってしまうこともあるそうです。

  

この項目を見るだけでも、子どもの体調が悪いことに加えて、保護者の体調も悪くなるであろうことは容易に想像できますね…。

  

私は小児専門病院に勤めていたのですが、入院中の付き添いは強制ではありませんでした。
24時間いつでも出入り自由。

「親が付き添いを希望する場合は、申請してね。」
というスタンスでした。(法律的にはこれが本当は当たり前。)

  

付き添いを強要しない病棟は、どのような様子だったのか。
小児病院の現状をお話ししようと思います。

(※あくまで一病院の中の一病棟のお話です。)  

夜間は帰宅を勧めます。

  

私が働いていた病棟は、半年~1年の長期入院をしている子がほとんどでした。

  

日中に面会に来てもらい、夜は看護師が中心にケアをする。
という体制が基本的なスタンスでした。

 

入院初日のオリエンテーションで、「付き添いはできるけれど、親の体調を万全にしてほしいので、夜間はできるだけこちらでお預かりします。」とお伝えしていました。

 

24時間面会自由なので、親はこどもを寝かしつけてから帰宅したり、仕事終わりに面会に来たり、子どもが起きる時間に合わせて、早朝から面会にきたり。

  

付き添いをしたい親はしていましたし、夜はファミリーハウス(入院児の親のために格安で提供している宿泊施設)で寝泊まりしている方もいました。

親それぞれの生活スタイルに合わせて面会に来てもらっていました。

    

どの家族も毎日面会に来られている方がほとんどです。

(名前)
夜に家で寝れることが本当にありがたいです。

特に他の病院から転院してこられた母たちは、口を揃えてこう言っていました。

  

 

睡眠や食生活といった家族の生活が整うと、子どもに向き合う心の余裕が生まれます。


ただでさえ、病気で子どもが入院するという事実を突きつけられ、不安や葛藤で、家族も心が不安定です。少しでも、心を緩める時間を持っていただきたいです。

 

また親の不安定な気持ちに、子ども達は敏感です。
家族の体調を整える環境を作ることは、親子にとって大事なケアだと思います。

家族と交代で子どもの見守り

  

「親も休憩に行きたい。」

休憩時間を作るために、親はどのタイミングで席を外していたかというと

  •  入浴 
  •  保育の時間
  •  リハビリの時間
  •  お昼寝の時間

 でした。

  

入浴

入浴は、基本的に入浴の日と体拭き(清拭)のみの日と、隔日で決めて、看護師がケアを行っていました。

保育時間

 保育士が常駐していて、毎日保育の時間がありました。

リハビリ

長期入院の子はリフレッシュや筋力低下予防のための介入が多くを締めます。
遊びの時間として、理学療法士や作業療法士にお預けしてしまう親もいました。

お昼寝時間

このすきに休憩される方が多かったです。
子どもと家族の大まかな1日のスケジュールを共有しておくことで、看護師と相談しながら子どもの見守りを行うことができていました。

 

多職種が協力しあえば、親が24時間べったり付き添う必要性がなくなってきます。

親のそばにいることは、子どもの権利

1988年に、病院の子どもヨーロッパ協会(EACH)が、子どもの病院が備えるべき環境の必須条件を10か条にまとめ、「病院のこども憲章」として発表しました。

↑小児看護学概論 より抜粋

  

子どもが病院で受けているケアが、心理的・社会的に問題を生じさせていて、特に親からの分離は、短期的、長期的な問題に結びつくという研究結果から生まれました。

  

上の図の2のところ。
「病院における子どもたちは、いつでも親、または親代わりの人が付き添う権利をを有する」とされています。

  

子どもにも、親と一緒にいたいと主張する権利があるんですよね。

  

だからこそ、親と多職種が協力して、親子ができるだけ一緒に過ごすことができる環境づくりと、いつでも離れることができる体制づくりが大事なのだと思います。

小児病棟での看護師の体制は整っているのか

正直にいと、明らかにマンパワーが不足していて、疲弊しながら働いていました。

1人ひとりに手をかけてあげることが不可能なほど、人員は不足していました。
入浴当番、食事介助当番など、役割分担を決めて業務にあたっていましたが、入院しているのは重症な子どもや、目が離せない子がほとんどで、子どもの安全が危ぶまれる状況があったことも事実です。

日勤業務終了が20~22時という、恐ろしい毎日でした。

  

これからも24時間の付き添いをなくす体制を維持していくためには、看護師の人員配置については早急に考える必要があります。(当時は、上層部に事実を訴えても、人員は減らされるばかりでした。)

 

 

入院中も子どもは成長していく(まとめ)

  

子どもたちは、入院中もどんどん成長発達していきます。

  

だからこそ、生活環境を整えることは大事です。
そして、病院では活動制限がある中での育ちになるので、入院生活が子どものの成長発達に何らかの影響を与えてしまうということを念頭に置く必要があります。

  

今回の話をまとめると

小児病院の現状は

 
    小児病院の体制
    • 24時間いつでも面会OK、付き添い
    • 日中は家族と協力してケアを行う
    • 多職種と時間調整をして、親の休憩時間を確保する

  

課題

  • 重症児であることに加えて乳幼児は看護度が高いにも関わらず、人員配置が少ない。マンパワーが不足している。
  • 多くの病院で、保護者の付き添いが強要されている。その上、親の生活の質が著しく低いこと。

病棟の看護師の努力だけではどうにもならない、ということが現状です。

親子、看護師の過酷な現状が周知されて、一刻も早い状況改善に繋がればと思います。
子ども達のより良い入院環境を整えるために。

参考論文: 子どもの入院に付き添う親の負担と家族支援の方向性

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【看護師/ベビーマッサージ講師/小児タッチケアセラピスト】 人格形成の原点はどこ?を解決したい⏩小児看護の道へ。 細く長く看護師続けたい! 成長の源は、人と旅と看護の出会いから 小児がん病棟勤務→27歳で訪問看護師になる。 明日も会いたい人になることが目標です。 小児医療人集まれ~!の会 主宰(不定期開催)。 1992年生まれ。山が好きです。